20240503

2024/5/3-2024/5/5 アルデ春合宿 メンバー/中嶋 小林 平野 鬼川 星島 松吉 山口

山域
北アルプス穂高連峰
日程
2024年5月3日 - 2024年5月5日
メンバー
中嶋さん、小林さん、平野さん、鬼川さん、星島さん、松吉さん、山口【※記録 山口】
コースタイム
2024年 5月3日(金)
8:00 上高地 → 11:30 岳沢小屋(幕営)

2024年 5月4日(土)
4:00 岳沢小屋(幕営地)→ 7:00 前穂高岳 → 10:00 岳沢小屋(幕営地)

2024年 5月5日(日)
8:00 岳沢小屋 → 10:00 上高地
詳細
今回の春合宿が山岳会での初山行となる。
グループ山行,グループテント泊,山飯作り,冬季アルパイン,アルプスバリエーションルート等、
色々と初めての経験となるので前日夜はソワソワして2時間程度しか眠れなかった(汗)

2024年 5月 2日(木)17時 JR塚口駅にて集合し出発。同23時過ぎアカンダナ駐車場着。
松吉さんが十分な車中泊の準備をしてくれたお陰で、前日の睡眠不足を回復できるくらい眠ることが出来た。感謝です。

2024年 5月 3日(金)6時半頃起床、LINEにてタクシー乗り場に7時集合を知り慌てて準備(汗)
8時集合のつもりで行動計画を立てていたので、かなりバタバタした起床となってしまった。
自分のコトで手一杯となってしまい。車中泊の撤収で松吉さんにかなり負担を掛けてしまった(反省)
7時タクシー乗り場着。6テンを分担することを想定していなかったため、どうやってザックに詰め込むかメチャクチャ悩んだが、上高地にて最終的に平野さんに幕体を持って頂き、私がポールをザックに付けることに落ち着く。感謝です。


上高地→岳沢小屋
2年前に岳沢から上高地に下った記憶を元に道程は1本道の緩い登山道なので、少し遅れつつも久しぶりの穂高連峰の景色を堪能しながらまったりと歩く。
雲一つ無い天気と相まって、雪渓に出てからは思わず何度も足を止めてしまう。最高のGWだ!

テン場に到着し諸先輩方と合流。一息ついてからテント設営し雪上訓練へ。
雪上訓練地までデブリ跡を歩く。デブリ跡を歩いたのは初めてでその歩き難さに苦戦した。
滑落停止は過去に大山や千畳敷の八丁坂で自主トレしていたこともあり、あまり恐怖はなかった。
頭からの滑落想定の訓練で短い距離の中で体制を整えることが出来るかの不安が大きく、思い切った挑戦が出来なかったことが少し心残りでした。
スタンディングアックスビレイ,ブッシュにメザシで支点を構築,支点の候補としてダケカンバが最適等など学びも盛り沢山のうえ、冬の山行での貴重な体験談も聞かせて頂いてメッチャ充実した初日でした。

夜ご飯は予定を変更して自分の準備していたカオマンガイ。
高地での炊飯は初めてだったけど、先輩方の協力で無事に成功。
想像以上のボリュームとなってしまったけれど、完食して頂けてすごく嬉しかった。


2024年 5月 4日(土)
いよいよ今回のメイン山行、奥明神沢からの前穂高岳。
ダイレクトルンゼは現地での状態を見て判断とのことで出発!
薄暗い中デブリ跡を進み奥明神沢へ。
ついて行けるのか?登れるのか?滑落しないか?メチャクチャ不安だったが、中嶋さんが歩みをゆっくり目にしてくれているようで、落ち着いてアイゼンとピッケルを使用することが出来たと思う。踏み跡が階段になっていることもあり一歩一歩を確実に歩めたので恐怖心はなかった。
ダイレクトルンゼのノドの部分がアイスバーンになっており下山時の不安を掻き立てるが、今考えても仕方がないと切り替えて歩みを進めた。
ノドを通過するといくつかのクラックが見られた。
初めて見るクラックにめちゃくちゃ不安を感じたが、先輩方が気にしていないようなので大丈夫なのだと納得する。
アイゼンで岩稜帯を通過する際、アイゼンでの岩場歩きで何度もスッ転んだ記憶が蘇る。
無事に通過できた時、アイトレに参加していて良かったと心から思った。
山頂到着時、嬉しさのあまり踏み跡から外れて一番高いところへ行きかけたが「雪庇」の2文字が頭によぎり踏み跡へ引き返す。危なかった。(汗)
先輩たちには見つかっていなかったようなので、このまま黙っておこうと心に決める。
残雪期とはいえ白の槍ヶ岳や雪景色を期待し過ぎていたため少し残念な気持ちが先走るも、奥明神沢~ダイレクトルンゼを登りきった嬉しさが沸々と込み上げて来る。
大好きな穂高連峰の景色を目の当たりに完登の余韻に浸っていると、号泣の松吉さんが・・・もらい泣きしそうになるも小林さんの「ハゲ散らかしてんなぁ!」の言葉でとどまれた。(笑)
2年前の夏に西穂~奥穂~前穂と歩いた時、この場所で一泊したいと惜しんだくらいのお気に入りの場所に再び来れたこと。残雪の穂高連峰を遠くは富士山まで見渡せる好天の下に堪能出来たこと。アルデに入会して本当に良かったと心の底から幸せを感じた。


気になる下山ルートがピストンと知らされた時、岩稜帯を通過する不安とノドのアイスバーンを下る不安が押し寄せる。無事に下山出来るのだろうか・・・先輩たちを信じ覚悟を決めるしかなかった。
中嶋さんの一挙手一投足をよく観察しながら、一歩ずつ確実に不安箇所を乗り越えた。
ダイレクトルンゼの一番下に辿り着き小さなテラスで休憩。
もう不安箇所も無く最高の景色を愛でながら最高のひとときを過ごす。
ずっとこの場所に居たいなぁ・・・なんて考えながらボーっとしていると背中右側にもの凄い衝撃が!
何が起こったのか分らなかったが「ラーク!」と小林さんが叫んだことにより、落石が直撃したと理解する。
急ぎ、負傷の程度を確認のため身体を大きく動かしてみる。
アドレナリンが出ているときの負傷確認はラジオ体操を行う的なことをモータースポーツやっていた頃に学んだが、アイゼンを装着していることもあり流石にココでは出来ない。
幸いに?肋骨を折った経験はあるので、その時に痛かった動作をやってみるも覚えのある痛みはない。
直撃部以外に少しヒリヒリ感を感じる箇所があるが骨折の心配は無さそうだ。ヒリヒリ感は擦過傷だろう。
無事だったから言えることではあるが、落石が直撃した衝撃を身をもって体験できたのは貴重だった。
下山中に足に当たっていたら間違いなく訳が分らなまま滑落していただろうと思うと、休憩で座っていたのは幸いだった。

アドレナリンで痛みが鈍くなっているとはいえ、右足が雪の緩んだところを踏み抜いた時は衝撃で直撃部に痛みが走る。
下山時に防災ヘリが飛来しているのを見て、一歩間違えば自分がお世話になったかもしれないと思うと幸運に感謝した。

テント到着後、ロキソニンを飲んで休憩。背中を見てもらったが内出血は無いとのこと。
テント内で明日の準備をした後、マット無しで少し寝転ぶとヒンヤリして気持ちいい。
これ以上腫れが酷くならないことを願う。

平野さんパーティーが遅めの下山。
ジャンダルムまで足を伸ばしていたと聞いてめっちゃ羨ましかった。
自分も登攀できるよう技術と自信を付けたい!
全員が無事に揃ったところでお待ちかねの夜ご飯。松吉さん特製カレーが感動の美味さ!
下山後にこっそり食べた岳沢小屋裏メニューのカレーナンドッグより遥かに美味しかった!
合宿じゃなかったら、間違いなくもう一杯おかわりしていた。

食事後は全員分のアイスを賭けてUNO大会が始まる。
初めてのUNOだったがギリギリで勝ち抜け。
最後は松吉さんと小林さんの一騎打ちとなる。
松吉さんの勝ちを確信した次の瞬間、通常人なら負け確定の手札から小林さんが逆転勝利!
流石、数々の修羅場を潜り抜けた人の引きの強さは半端ないと驚愕した瞬間だった。

20時過ぎ、寝起きは痛いんやろうなと心配しながらの就寝。
起床時の痛みが許容範囲であることを願う。


2024年 5月 5日(日)
起床時、寝返りの度に痛みで目が冷め右を下にして寝られない辛さがあった事を報告。
体ほぐしたら行けるかもと思っていたが、西穂沢は中止となる。
二度寝タイムとなり遅めの起床。
撤収後、背負ったザックが登りの時よりもパンパンなのに軽い!山岳会の皆に感謝です。
仲間が居るというのは本当にありがたい。
下山時、雪渓が終わる頃に身体がほぐれて痛みが大分マシになる。
西穂登れたかも?という悔しさの中下り続けるも、風穴辺りで痛みがぶり返す。
右脚の着き方一つで背中に痛みが走るため、歩みがゆっくりとなってしまう。
上高地に着く頃には、どうやっても背中に響くし衝撃をかばう足運びで両太腿がパンパンになってしまった。
西穂沢に登った後だったら、撤収~下山が出来なかったかもと思い知る。
やっぱり先輩の判断は正しかった。改めて経験値の違いを身に沁みて実感した。


今回の山行ではたくさん学ぶものがあった。
特にグループテント泊。
テント内で靴の脱着や朝食作り等など、全く想定していなかった事だらけだった。
知識として知ってはいたが、非常時の行動と思い込んでいた。
ソロ山行ばっかりだったので、配慮に欠ける行動を多々してしまった。
パーソナルスペースは想像以上に少なく、もっとコンパクトで要領良く段取り可能な工夫が必要と実感した。
特に寝起きの体制のまま、殆どの準備をこなしてしまう中嶋さんの技術は凄いと思った。
もっともっと勉強し経験を積んで、リーダーとなれるよう精進してゆきたい。

中嶋さんと小林さん、新人のレベルに合わせて山行を計画し、指導と引率を行ってくれたことに感謝します。
自分がリーダーとなれるよう成長することで恩返しを行いたいと思います。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

山口